2019.04.09
中学校 入学式
平成31年4月8日、本校カトレアホールで昇陽中学校入学式を挙行しました。校長式辞は以下の通りです。
すっかり春になり、皆さんの門出をお祝いするように満開の桜が咲いています。このような佳き日に、昇陽中学校入学式を挙行することができました。そして、多くのご来賓の皆さま、保護者の皆さまにも、ご臨席をいただき厚くお礼申し上げます。
さて、ただいま入学を許可しました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。地元地域から離れ、緊張する中、新しい制服に身を包み、本校学校生活にどのような期待と決意をもっているでしょうか。これから本校で明るくキラキラ輝いてほしいと思います。
また、本年度より新元号になります。新元号「令和」は「万葉集」の一文にある「時に、初春の令月にして気淑く、和やわらぎ」からきています。この元号は、厳しい寒さののちに春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、明日の希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせるという願いを込めて決められたそうです。全く、皆さんの前途を祝っているような元号であり、皆さんは、「令和」の申し子として、大きな花を咲かせてください。
さて、本校は、大正13年に淀之水高等女学校として創立された伝統ある学校です。その後、初代理事長の木村幸次郎氏が私財を投じて、本校発展に寄与されました。その時、「奉仕のこころ」の建学の精神を説きました。以来、女子教育を推進し、社会に貢献できる人材の育成に努めてまいりました。平成22年に校名も昇陽中学校・高等学校と改称され、男女共学となりましたが、建学の精神は生き続けています。その思いやりと社会貢献の精神を皆さんにも受け継いでほしいと思います。
また、そうなるためにも一つのプロジェクトを参考にしてほしいと思います。それは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が行っている「はやぶさ2」プロジェクトです。今「はやぶさ2」は小惑星「りゅうぐう」に到達し、太陽系や生命の起源を探ろうとしています。そのために、2億8千万km離れた「りゅうぐう」の6m範囲にタッチダウン(接地)しました。この奇想天外な試みに5百人ほどの研究者、エンジニアがかかわっています。多くの人々がその英知を戦わせ協働して、その壮大なミッションを成功させようとしています。このプロジェクトを遂行している人々から多くの事を学んでください。
その一つは、目標を立てる事です。JAXAの人々も「目標に対する共感」を最も大事にしているそうです。目標がなければ、達成しても、それはただの偶然です。再び同じことをしても成功しないでしょう。人は、古来より夢のような目標をたて、実現してきました。皆さんも夢をもち、目標をしっかり立ててください。
二つめは、国語力と会話力をしっかり身につけてください。現在、教科書を深く読めない者が多いといわれます。将来、理系・文系関係なく資料が読めなければ仕事はできません。全ての基礎は国語力です。しっかり、読書しましょう。また、それで取り入れた知識を表現するのが会話力です。「はやぶさ2」プロジェクトでも多くのミーティングや会議を行ったそうです。今日から、自分の考えや気持ちを分かりやすく伝える努力をしてください。
三つめは、ともに苦難を乗り越え「協働する」チーム力です。プロジェクトでも、問題が起これば部署関係なく支援したそうです。メールなどで解決策が多く集まったそうです。この個人間の信頼と相互尊重から心理的な安心感を生み出し、大きな成果を上げました。みんなで解決する、そんなチームワークは、相手をリスペクト(敬意)を持つ事から始まります。皆さんも、思いやりあふれるチームワークのとれた明るいクラスを作ってください。
そして、現在皆さんも「はやぶさ2」と同じように夢に向かって進んでいます。皆さんの夢や可能性は無限大です。しかし、達成や実現まで地道な継続に耐えなければなりません。目標が高ければ高いほど、道のりは長いかもしれません。先日引退したプロ野球選手のイチローは毎日の練習や食事管理を徹底し、毎日のルーティンを大事にしました。それを人は、「成功は、才能ある人に訪れるのではなく、結果がすぐに出なくとも、努力を地道に続ける事のできる努力のスタミナのある者に訪れる。」と言っています。皆さんも、毎朝早起きする、少しでも家庭学習するなど毎日のルーティンを大事にしてください。「努力、継続に勝る天才はありません。」
「はやぶさ2」は来年末に小惑星の物質をもって、地球に帰還する予定です。打ち上げから6年がたちます。その壮大な夢と努力の結果、成功のあかつきには日本中が歓喜に沸くでしょう。同じように、皆さんひとり一人の努力の結果が大きく実り花開いた時、ともに喜びたいと思います。
最後になりましたが、保護者の皆さまには、お子様のご入学改めてお祝い申し上げます。ただ、中学時代は青少年期として、成長の変化が著しい時代です。この生命力あふれる青少年期に「しっかりした習慣と健全な価値観」を身につけなければなりません。これらが身につけば、これからの変化の大きい社会にも対応できる人材になると思います。保護者の皆さまにも、愛情深く、時には毅然と見守っていただきたいと思います。また、本校教育活動にもご理解とご支援のほど、よろしくお願いいたします。それでは、新入生の皆さん、昇陽に入って良かったと思える学校生活を送る事を祈念して、私からの式辞といたします。
平成31年4月8日
昇陽中学校長 竹下健治